【相談室だより Vol.1】はじめに―信州AI・IT活用相談室を開設した理由

はじめまして。
信州AI・IT活用相談室の加藤です。
この「相談室だより」は、私が日々の仕事を通じて感じたことや、この地域への想い、AI・IT活用について考えていることを、できるだけ自分の言葉でお伝えしていく場所にしたいと考えています。
第1回となる今回は私がなぜこの相談室を立ち上げたのか。そして、この地域でどのような未来をつくっていきたいのかについてお話しします。
地元企業の魅力と、現場が抱える課題を知った日々
私は上伊那郡南箕輪村の出身です。
高校まで地元で過ごし、大学進学を機に上京して法律を学びました。
その後、新卒で伊那市の税理士法人あおば会計に就職し、地元企業の経営や日々の業務に関わる仕事を経験しました。
長野県の多くの経営者の方とお話しする中で、強く感じたことがあります。
上伊那地域をはじめとした長野県には、優れた技術やサービス、そして仕事への熱意を持った企業が数多くあるということです。
「自分が生まれ育った地域に、こんなにも魅力的な企業があるのか」
地元にいながら知らなかったことも多く、その一つひとつに驚かされました。
一方で、現場が抱える課題も目の当たりにしました。
優れた製品やサービスを持っていても、日々の業務には手作業や紙、Excelによる管理が多く残っています。
限られた人数で多くの仕事を抱え、人手不足に悩みながら、目の前の業務を何とか回している企業も少なくありませんでした。
東京で学んだIT活用と、地方に持ち帰る難しさ
「進んだIT活用の現場を自分の目で確かめ、いつか地元に持ち帰りたい」
そう考えた私は再び上京しました。
その後、アビームコンサルティング株式会社で、主に製造業を中心とした大企業の基幹システム導入やDXによる業務改革プロジェクトに携わりました。
そこで目にしたのは多くの予算と人材を投入し、会社全体の業務を見直しながらITによって生産性を高めていく大企業の姿でした。
一方で、経験を積むほどにある難しさも感じるようになりました。
「大企業で行われている方法を、そのまま地方の中小企業へ持ち込むことはできない」
予算も人員も異なり、ITを専門に担当する方がいない企業も多いからです。
大企業の方法を単に小さくするのではなく、それぞれの会社の予算や業務、人員に合った仕組みを考える必要がある。
そう感じるようになりました。
AIの登場によって広がった可能性
そのような中で急速に進化したのが、生成AIをはじめとする新しいテクノロジーです。
これまで多額の費用や専門的な人材が必要だったことの大部分を、AIやクラウドサービスを活用することで、以前よりも小さく始められるようになってきました。
AIと会社の規模に合ったITをうまく組み合わせれば、これまで人が時間をかけていた作業を減らし、本来力を注ぐべき仕事に集中できる可能性があります。
「これなら、地方の中小企業にも新しい選択肢を届けられるかもしれない」
そう確信したことが、再び地元で活動することを決めた大きなきっかけでした。
「信州AI・IT活用相談室」をつくった理由
地域の経営者や現場の方々とお話しする中で、もう一つ気づいたことがあります。
多くの方がまず抱えているのは、AIやITに関する悩みではありません。
「人手不足で日々の業務負担が大きくなっている」
「属人化が進んでいて、○○さんがいなくなるともう仕事ができない」
「AIって最近よく聞くけど、そもそも何ができるのか」
このようにAIやITの活用を検討する前の段階で、悩んでいる方が多くいらっしゃいました。
自分たちが抱えている困りごとが、AIやITによって改善できるものなのか分からない。
誰に、まず何を相談すればよいのかも分からない。
どれほど便利な技術があっても、安心して最初の一歩を相談できる場所がなければ、活用にはつながりません。
そこで、まずは日々の仕事の悩みや困りごとをお聞きしながら、AIやITの活用と結びつけるための地域の相談窓口をつくりたいと考えました。
それが「信州AI・IT活用相談室」です。
相談の段階では、AIやITを導入することを前提にしていません。
お話を伺った結果、今のやり方を少し見直すだけで解決できることもあります。
既存のサービスを活用する方がよい場合もあれば、すぐに何かを変えず、まずは課題を整理することが必要な場合もあります。
AIやITは、導入すること自体が目的ではありません。大切なのは、経営者や現場が抱えている悩みを解決することです。
だからこそ特定の製品や方法から考えるのではなく、まずは現場の悩みから一緒に考えていきます。
AIやITについてまったく分からない方にも、どのような活用方法があるのかを、中立的な立場から分かりやすい言葉でご説明します。
地域のAI活用から、日本の未来をつくっていく
少子高齢化や人手不足は、日本の多くの地域や企業が直面している課題です。
私の地元である上伊那でも、すでにその影響を身近に感じる場面が増えています。
だからこそ地域の中小企業におけるAI・IT活用の事例を一つずつ増やしていくことには、大きな意味があると考えています。
AIやIT活用がゴールではなく、その結果として
「毎月繰り返している作業が減って楽になること」
「社内に散らばっている情報がまとまって、すぐに必要なことが確認できること」
「一人に依存せず、誰がいなくなったとしても業務がスムーズに引き継げること」
そのような身近な改善の積み重ねが、働く方の負担を減らし、会社の利益や地域の持続可能性につながっていくと私は信じています。
画面越しの提案や机上の空論だけで終わるのではなく、経営者や現場の皆様と直接お会いし、実際の仕事を見ながら一緒に考えていく。
そしてこの地域で生まれた取り組みを、長野県内だけでなく、同じような課題を抱える全国の地域へ広げていく。
それが私の目指している未来です。
まだ始まったばかりの相談室ですが、皆様にとって「まずはここに相談してみよう」と思っていただける場所に育てていきたいと思います。
これから、どうぞよろしくお願いいたします。

この記事を書いた人
加藤 大地
信州AI・IT活用相談室 代表
リバティゲート・コンサルティング株式会社 代表取締役
長野県の地域のみなさまを支援する中で、感じたことを相談室だよりで発信していきます。